2018年10月2日

かんころの島紀行12 Newspaper article

Article in Mainichi Times 2018.9.30
Three ways to avoid Boar's attack to the farms in rural area. "catch""Guard""separation from people"
今回は、イノシシのことを、取り上げました。イノシシを取り上げようと思ったのは、
地方と都会で、温度差がある問題の象徴であると感じたからです。

私もそうでしたが、東京、横浜に住んでいた時、
イノシシのことなんて、考えたことはありませんでした。
それこそ、「田舎の、山に近いところで、たまに、遭遇しちゃう」という
笑い話のひとつぐらいの認識だったのです。

でも、地方の農村部の現実は、
自然と人間の境界線で行われる、攻防戦でした。

文化の語源であるcolereは耕すというラテン語。
農業agricultureは、agri畑 とculture文化、という言葉でできてます。
農業は、人の文化の始まりであります

何千年もの間、人は、安定して、生きていくために、
cultivate(耕し)てきたのです。
自然は恵みもくれるけど、そのままでは、太刀打ちのできない相手でもあります。
そこに、工夫があり、知恵比べがあり、食べ物を得て、生き延びてきたのです。
それが、人間が、人間たるゆえん。
自然にできて、落ちてくるものを、拾って食べる動物ではないのです。

都会で、「生き延びる」といえば、
よりよい安定した仕事を得るため、能力を身につけ、
心身ともにタフになり、情報を集め、勝ち抜くこと、
という面があるかと思うのですが、
長い歴史の中では、「生き延びる」は、
食料を安定確保するために、自然と共存・競争してきた、
という部分の方が、大きいのではないかと思います。

今、イノシシと人間との攻防戦が、
イノシシ優位のまま、押されてきていることは、
前線にいないと、感じません。
でも、じつは、食料確保の、そして、農業(文化)の危機でもある。

電車に揺られ、パソコンに向かう仕事をしてる人にも、
この問題について、知ってもらい、
議論に加わってもらえたら、との思いから、
イノシシ問題を書きました。

これで、かんころの島紀行の12回目の記事になりました。
当初、1年の予定だった連載ですが、
「せっかく、軌道に乗った取材活動だから」と、
もう1年、続けさせてもらえることになりました。
上五島のこと、かんころ餅のこと、カトリックの方の信仰、
これからも、追いかけ続け、記録していけることになり、うれしく思います。

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