2018年5月2日

タワマンにイノシシ Building and boar

廃墟となった教会堂 Ruined church at Goto

先週、一人で、東京に行ってきた。

羽田空港から、モノレールに乗り、湾岸を街へ近づいていくと、
巨大なタワーマンション群が見えてきた。
よく見ると、巨大な駐輪場があり、そこに、100は越えようかという
ほぼ同じ型の補助席付きのママチャリが並んでいた。

その数日前に、上五島の取材に行って、
小学生がいない学年があって、存続の危機にある話をしてたので、
その光景とのギャップに、頭が混乱した。
(あのタワマン一個、島に持って行ったら、すべての問題は解決だ)

このタワーマンションで、必死で働くママパパさんと
そこで、育つ子供達の生活を、とやかく言う立場じゃない。
そこには、一つ一つのドラマがあって、人生がある。

でも、この方向性が、日本全体として、正しいベクトルだとも
思えない。
島や、地方からは、人が消えていき、文化も消えていく。
一方、人が集まり過ぎた都会では、ぎゅうぎゅう詰めに人が住む。
自分たちのことで必死で、お互いが見えることはない。

数ヶ月前、中国のタンカーが座礁して、大量の石油が漏れた。
私が、そのニュースを見た瞬間に思ったのは、
上五島の、塩づくりをしている人や、魚を扱っている人たちの生活だった。
その日は、そのことを考え続けて、眠ることもできなかった。

その時、都会のある人が、
「もうすぐ、魚が食べられなくなるから、今のうちに食べておかねば」
と発言した。
それを聞いて、なんと、他人事なんだろう、とショックを受けた。

島へ通っていた私には、そこで暮らす人の顔や気持ち、文化、生き方が
まざまざと見えて、痛みとして感じた。
でも、私だって、五島の人たちを知らなかったら、
やはり、「魚、食べられなくなるな」だったのかもしれない。
知らない、というのは、そういうことなのだと思った。
(流出したオイルの性質もあり、被害は限定的だったようでしたが)

「なぜ、かんころ餅なの?」
「どうして、五島なの?」
と聞かれる。
その答えを、明快に、話すのは難しい。
これだけの生活や価値観にギャップがある所で、自分の思いを
一言で語っても、伝わらないことが多いからだ。

あえて、一言で説明するなら、
この「ギャップ」を埋めたいという願いから、と答えたい。

地方で1つ、事件が起きた時、心の距離の遠さから、
「しかたないじゃん。たった5人の集落でしょ」
と、切り捨てられていくことへの、抵抗感。

遠くて、人も少なくて、影響もないように思うかもしれないけど、
じつは、同じ船に乗っている。
それが、島国日本だと思う。

地方で、イノシシの被害を真剣に悩んでいる人が、
都会のスーパーに野菜が並ぶのを、支えている。

分業化が進み、流通が発達して、
生産者と消費者の間に、交流が減った。
原料と食事の間のギャップも大きくなった。
そして、ひとつひとつの問題が、身近に感じられなくなった。
(原料がなければ、これも、あれも、作れないはずなのに、
練り込むものを変えて、できあがったもので、気にならなくなった)

私が、こんな大問題を解決できるわけはない。
私ができることは、書くこと、描くこと。
そこから先は、人。

それぞれが、なにかを感じるきっかけになれば、と
「知られざる かんころ餅の世界」も、始まります。
ポスターも出来上がりました。
ご協力、よろしくお願いいたします。

I feel the big gap between city and countryside in Japan.
Lots of tower buildings stand at the sea side of Tokyo
besides school of Goto island had only a few students and nearly close down.

One day a ship broke down and oil spread over the sea.
When I heard the news, I was so hurt to think about the life of Goto people
who are living with sea salt making or fishing that I could not sleep.
One of friend in Tokyo said, "Well, we will not able to eat fish soon, so
I will eat as many fish before that."
I was very shocked to hear that.

Since I knew people there well, the problems were just so realistic,
but if not, people can be very cold since they cannot imagine the life of them.

Now the gap is getting bigger by development of transportation, division of labor, then people could not feel how the products are made, no interests in where they came from, and who made it.

The reason why I search for Kankoro sweet is this product showing these problems. It was just one rural food, but it tells us what the culture is, and how it survive, and how it could expand.

After a year research for Goto island, I finally made small brochure about this food and now I would do exhibition. I hope this would give people the chance to look over the life and fill the gap between city and rural, then get better idea from them.

ポスター完成 Poster for the exhibition of Kankoro sweets

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