2020年4月1日

カンコロの島紀行2月 Goto Article

About a pray every Friday morning at the Kuroshima Church for Atonement of Stepping pictures of the ancestor

the women, the owner of the small grocery shop at the island, goes to the church every morning since she was a child.
アップが、滞っていて、すみません。

毎日新聞掲載「絵本作家が行く、カンコロの島紀行」2020年2月号です。
今回は、佐世保市、黒島にだけ行われている「踏み絵の贖罪」のための「十字架の道行きの祈り」について書きました。

 黒島は、人口の8割近くがカトリック教徒という、非常に特殊な島です。
日本におけるカトリック教徒は、0、 4パーセント弱。人口比が高い長崎県で4パーセント強という事を考えると、その特殊性がよく、わかる。

私が20代の頃に住んでいたアイルランドは、世界でも有数のカトリック国だが、
そこのカトリック比率が8割だったので、同じなのだなあ、と感慨深く思った事がある。

アイルランドのダブリンに住んでいた時は、私は国立の美大生だったのだが、同じクラスの生徒にMonkがいた。正真正銘の修道士だ。彼の世界は、純粋な信仰で成り立っていて、透き通るような、美しい目をしていた。
バスに乗っているおばあちゃんは、教会の前を通過すると一斉に十字を切るし、日本でゆるくて、雑多な信仰心に囲まれてきた私には、なかなか衝撃的な暮らしだった。

当時、まだEUに入りたてだったアイルランドは、外国人に慣れておらず、保守的な面を多く残し、クラスでたった一人の外国人だった私は、疎外感を感じて、ホームシックに苦しんだ。半年もたつと、英語もなめらかに出てこないのに、日本語も出てこなくなって、混乱した。緯度が高くて、日照時間が圧倒的に短い冬も拍車をかけた。

そんな私を、クラスメートは週末、地方へ帰宅する時に、一緒に連れ出してくれた。小さな家に、6人の子がいる家。一部屋に2段ベットが2つ入り、成人した女の子が4人眠る。私が泊まるために、一番上のお姉さんが、婚約者の家に泊まりに行ってくれた。

週末の過ごし方は、いたってシンプル。兄弟姉妹、家族で、2時間ぐらい家の周りを散歩する。隣の家が見えないかぐらい、だだっぴろく、ただ、草原の間を抜ける石垣の道を、風に吹かれながら、ずーっと歩き続ける。

アイルランドのカトリックの歴史も、決して、平穏なものではない。イギリス国教会との関係で、多くの政治的な争いに巻き込まれてきた。その中で守りきった、平穏な今の生活を尊ぶ気持ちが、日本の長崎の信徒さんと重なって見えることがある。島であることや、風が強いこと、土地が豊かではないことまで、似ているからだろうか。

上五島で、さつきさんや、ふささんが必ず「私は幸せだ」「私ほど、幸せな人はいない 」と口を揃えて話す。その言葉は、本当に、心の底からのものだと感じさせ、いろいろ、不平不満を感じて生きている、自分に恥じた気持ちになる。

毎朝のミサは、私には苦行に見える。
でも、それを行う人たちが、これほどまでに、まっすぐと自分を信じられるのなら、 祈りは確かに、力を持ち、人を支えてくれるものなのだろう。

不安な時ですが、そうした先人にならって、大切なものは何なのか、見失わないで、過ごしたいです。

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