ここ半年ぐらい、「時間ができたら」やってあげると、保留したものが、数々ある。
最初は、クリスマスに「羊のぬいぐるみを、作ってほしい」と要求してきたのを、「羊、ひきかえ券」を発行したことに始まる。
その後、大混乱の中、絵本の締め切りもズルズルと延びていき、食う、寝る、住む、が確保できたら、オッケーという状態が続いた。
その間、ナノカは、わたしといろいろな事をやりたい気持ちをガマンして、代わりに約束を取り付けていった。
よもぎパン作ろうね。ジャム作ろうね。梅シロップ作ろうね。クッキーを作ろうね。学校の頭巾を作ってね。 新しいシューズバックを作ってね。ワンピース作ってね。
締め切りが終わって、空白の時間が生まれてみると、膨大なto do listを抱えて、何から手をつけていいのか、わからない。
ナノカも、忙しい。家に帰宅すると、宿題に追われる。それでも、宿題が終わると、わたしのところへやってきて、「なんか、しよう」と言ってくる。
「いいよ」「何、したい?」と聞きかえすと、一緒に絵を描きたい、とか、一緒に何か作りたいとか、答える。
「マーマレード、作る約束してたから、一緒に作ろうか」と、誘ったら、
「それは、ママがやるの。ママが約束したんだからっ」と(少々、キレ気味に)断られた。
仕方なく、皮をむいて、仕分けて、切っていると、「やる!」と加わってきた。結局、かなりの作業を、彼女がやってくれた。一緒にやりたいなら、最初から、やればいいのに。
そういえば、テレビの仕事を抱えてた時も、締め切りがしょっちゅうあって、しばしば、ひどい末期状態になった。ギリギリに保育園にお迎えに行って、家に帰ると散らかっていて、そして、ご飯はふりかけとキュウリとかの日もあった。
そういう時、ナノカは、親の切羽詰まった感を感じ取って、不満を言うことは、ほとんどない。
「ママ、おむかえ、最後じゃなかったよ」と言ってくれるほど、やさしい。
一方で、仕事が一段落すると、必ず、保育園を休みたいと言い出した。わたしは言われる通り休ませて、どこかへ連れて行ったり、一緒に何かをしたりした。ナノカは、ガマンが続いた後、埋め合わせられる、という体験を、くり返してきたのだ。
今は、「自分の願いごとを、きちんと聞いて、やってくれる」母を、求めている時期なのかな、と思う。たくさんの要求をしてくるけれど、ひとつひとつ、とても、満足そうに、受け取る。自分のために費やされた時間を、確かめるように。
行動だけを見て、ワガママ、と思うこともあるかもしれない。でも、よく見れば、その前の相当量のガマンが隠れている 。
甘夏は、自家用を譲ってもらった。それを、丁寧に切り分けて、煮こぼして、煮詰めて、、、 マーマレードはなかなか手間がかかる。
でも、途中で、ミカンのすっぱい匂いに包まれたり、ゆでた皮の黄色の美しさがあったり、やった人しか知らない風景がある。ものが作られる風景の中にいる幸せ感は、記憶に残るだろう。
ちいとは、埋め合わせられましたかね?
0 件のコメント:
コメントを投稿