Caterpillar is now chrysalis. |
トゲオのその後だが、あれから、トゲオ1号は、逃亡した。
逃亡の発覚を恐れて、わたしは、学校の植木鉢から一匹もらって、箱に入れた。その日、偶然にも、ナノカが下校中に、小さな幼虫を見つけて、連れて帰ってきた。
結局、わたしは、正直にトゲオが逃亡したこと、よその幼虫を養子にとったことを、伝えた。そいつをトゲオ2号とし、 ナノカの連れ帰った子をトゲヒコと名付けた。
しかし、トゲオ2号の食欲はあまりよくなく、数日後、汁を出して、瀕死の状態になった。わたしは、野生種のスミレでは、彼らを飼いきれないと思い、大家さんの終わりがけのパンジーの鉢に瀕死のトゲオ2号と、トゲヒコを放した。
その時、大家さんの鉢の中に、大きな幼虫を発見。距離から考えると、逃亡したトゲオ1号ではないかと思った。しばらくして、トゲオ1号(らしきもの)は、脇にある枯れ木で、蛹となった。
蛹になった、トゲオ1号は、背中のところに、金色のつぶつぶがある。このまま、羽化が見れるといいなあ。
もともと、娘が学校を移るために引っ越したので、転校した今、ここに住まなければいけない理由はないのだけど、こうして、昆虫だの、植物だのを、積極的じゃなくても、身近に感じられるのは、いいものだなあ、と思う。うちの娘は、自然にどっぷりタイプじゃないので、触れなくなったら、興味を一気に失うと思うからだ。
ここ、しばらくは、家の前で蛍が飛び交って、夜、10分ぐらい、外で過ごすのが日課だった。家の裏の畑も、芽が生えないし、虫の被害にあうし、へこたれるけど、日の光を浴びながら、ボーッと成長を見ていると、心穏やかな気持ちになる。
田舎の暮らしは、自然に近いので、どちらかといえば、経験則にのっとっている。
ここに、これ撒いといたら、ムカデ、こなくなったよ、とか、この時期になると、アリが増えるから、その前に、ゴミ箱移動しておこう、とか。
なので、急に外から見せてもらうと、「なんで?」と思う慣習や、いい加減な対処法があったりする。でも、それが、一番、ここで生きていくには、必要な知識でもある。
そういうのも、詳しく調べていくと、科学的に説明できることがあったりして、興味深いなあ、と思う。
まさに、そういうところを、体験してほしいな、と思う。でも、押し付けることはできない。なんとなーく、目にする現象に、さまざまな意味が付属していて、ヒントがあるだけ。
そういう意味で、土に近い生活は、うちの娘には、いいのだ。ものすごく自然に興味がある子だったら、都会の真ん中に住んでいても、小さな自然現象を見つけるだろうし、土日には熱意を持って、虫網と虫かごを持って、どんな遠方にでも出かけていくだろう。でも、この人は、土から離れたら、本で得た知識だけで、すべての世界を見てしまうだろうから。
小さな視点から、大きな俯瞰図まで、山や海や川や野原は、とにかくダイナミックで美しい。その風景を、まだやわらかい心に映して、これから生きていく糧にしていけるといいなと思う。
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