「ナノカに、影のお友達がいるって、知ってる?」
と言い出した。
その友達と、よく話をしていると言う。その子は、特別な人にしか見えなくて、大きさが自由自在に変わる。学校に行く時は、手のひらサイズになって、肩とかに乗っているのだとか。
「ほら、そこ」
とわたしの横を指差す。ちょっと、こわいかも。
「名前は、どんぐり、て言うの。椎の実どんぐりちゃん。」
名前、かわいいね!と言ったら、調子に乗ったのか、 登校班に合流するまで、その話が続いた。わたしの傘に、どんぐりちゃんと二人で入ってきたりした。
4年生で、この夢心地は、珍しいのかもしれない。でも、好き放題、想像して、本の世界にどっぷり浸かってたら、こんな女の子は、たまに、発生する。
同じ年齢でも、その世界観を持たない人の方が多かろう。だって、今の子ども達が暮らす世界は、決して、どんぐりちゃんの居心地がいい場所じゃないから。
ずっと、椎の実どんぐりちゃんが、生存していくために、本当は、世界が歩み寄ってくれたのなら、いいのだけどなあ、と思ってしまう。でも、椎の実どんぐりちゃんの居場所は、現在のところ、家以外には、なさそうだ。
世の中的には、想像することって、そんなに重要視されていない。「想像」ていう科目もないし、入試や求人の要件に、「想像力」とも書いてないから、使えない能力だと思われてるんだろうか。
でも、想像力は、あってもいい能力だと思う。というか、無のところに、何かを生み出すなら、絶対に、想像力がないといけない。未来、社会に立った時、引き出しが出てくるのは、この能力に由来してるんじゃないだろうか。
あったらいいのに、「想像」という科目。りんご一個で、30分話し続ける力。
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