4年間かけて取材してきた、かんころ餅。とうとう、絵本になることが決まり、最終段階に入っている。その一番、大切な作業をしなきゃいけない時期に、娘を病人として、家に迎えることになった。
世界で一番大切な娘が、なにより、優先される。頭はそれで、いっぱいになる。でも、ここ数年、すべてを注いで、やってきた仕事を、どうして、いい加減にできようか?
通常、ナノカは、わたしの仕事の邪魔にならないか、気を使っている。最初に、やらなくていけなかったのは、ここは、あなたのいていい場所だと、しっかりと思ってもらうことだった。
「ママは、ここで、仕事をします。ナノカは、ママが、さぼらないように、見張る係りです。よろしくお願いします」
それで、納得して、ナノカは、わたしの横に座布団を敷き、日がな一日、本を読んで過ごした。
ビックリするような状況に、わたしも、ショックで手が震えて、スケッチの線がぶれるほどのこともあった。でも、仕事はしなきゃいけない。ナノカは、守らなきゃいけない。
だから、遅れに遅れてしまったけれど、なんとか、スケッチを描き終えた時、心から、ホッとした。
ふりかえると、スケッチを仕上げる時間は、思ったよりかからなかった。それだけ、4年間、取材して、積み重ねたものがあったのだと、気づいた。歴史、文化的、社会的背景、作物としての特性、人々の暮らし、気候、すべて、頭の中にストックされていた。
ここから、1ヶ月ほど、さらに作業は、佳境に入っていくが、家族と支えあいながら、よいものにしていきたいと思う。
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