2018年11月12日

君は、なにをできるのか What can you do for that?


民家の横に建てられた棚(小値賀)
今も稼働する活版印刷(小値賀)
てんこ盛りの島取材から、帰ってきた週末。

クタクタながらも、黒島が舞台の、貴重な映画が上映されると聞いて、
佐世保映画祭に走る。

「裸足の青春」
1956年製作(東宝)

カトリック教徒と仏教徒の村が2分する島という架空の設定で、
おもしろおかしく、おおげさに、ことあるごとに、いがみ合う、というのは、
住民の大方がカトリックで、仏教徒と穏便に共存してきた、
黒島の史実とは違うが、興味深い、映画だった。

なにより、オープニングの九十九島の上空からの映像に、
釘付けになった。

どの島にも、沿岸部に土がいっぱい残っていた。

そして、黒島を覆う、段々畑だ。
当時の漁の仕方や、船の仕様、大聖堂の姿や、海の美しさも衝撃だった。

それを撮ろうとして、撮ったわけでもないだろうが、
郷土資料としての価値の大きさも感じることができた。

次の日、
「スイートスイートゴースト」
2000年製作(日活)
という、大島崎戸をロケ地にした映画を見た。

これも、2000年時点で、大島に、これほど古い商店街や建物が残ってたことが
衝撃的だった。

今、逆に、これがそのまま残っていたとしたら、
都会から人を呼び寄せるだけの、観光資産になっていたかもしれない。
(インスタ映えもするし、、、)

でも、やっぱり、人の営みの中で、
建物も景色も文化も淘汰されるのが、現実だ。
それは、私が、五島に通い、かんころを追いかける中で、
身にしみて、感じること。
どんなに、あがいても、大型農業には敵わないし、
若者が島の畑で稼ぐのは、都会でもらうサラリーより、厳しい。
誰かが、その選択肢をすることは、極めて、難しいことだ。
いろいろな事を模索してみるが、「経済」という壁を越えられず、
ウロウロしているうちに、文化ごと消えてしまうのではないかと絶望的にもなる。

一方、これから、効率化と機械化(AI?)で、世界はさらに、便利になっていく。
そういう中で、逆に、「これこそが、価値があるよね」と
いうものが出てくるだろうとも思う。

それこそ、大きな近代化の波の中でも、なぜか、生き残った
「人間の、営みの、あたたかさ」みたいなものじゃないんだろうか。

そう思うと、せっかく昭和、平成の激動を生き延びた文化を、
今、この数年で、失ってしまっては、取り返しがつかないと思う。

まだ、打つ手はあるはず。
そして、その一つの動きが、
次の世代に、なるべく多くを残すことにつながる。

なにができるのかな、と考えてしまう、眠れない夜だった。

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