1日経ってから、仕上げ作業するナノカ |
パステルカラーで描かれた、なんとも、ほのぼのした、掛け軸。 |
構想に、ものすごく時間がかかるけど、最後まで、やりとげる、
じっくり、努力型。
センスがよくて、勢いよく、突き進む、
大胆なタイプ。
失敗を恐れて、最初の一歩に時間がかかるが、
いざ、制作が波に乗ると、個性が引き立つタイプ。
同じように、屈託ない「こども」に見えても、
意外な内面を見せてくれるので、教えることは、楽しい。
そんな中、ナノカは、
スタートダッシュで、絵を描く、
「先行逃げ切り」タイプだ。
誰よりも早く、デザインを決めて、
どんどん、描いていく。
途中、鼻歌あり、独り言あり、プレゼンテーションあり。
迷いなし、恐れなし、だ。
一方、幕切れも、早い。
「え?」というような、ところで、
「できた!」と言って、終わりにする。
「もう少し、描き込んだら、どうなのかな」
という声は、耳に入らない。
この、粘着のない、さっぱりした制作姿勢に、
いつまでも、ねっとりと、時間をかけて、絵を描くタイプだった
私は、少々、戸惑う。
迷いなく、決断して、ラインを引けること。
インスピレーションで、自分の絵をデザインできること。
それも、 1つの制作姿勢だ。
私は、ナノカの制作に、口を挟まないようにしている。
「え、これで、終わり?」
の作品は、とりあえず、彼女の意思を尊重して、
その日は、そこで、終わりにする。
そして、後日、二人で、ゆっくり見直して、
必要なら、加筆してもらう。
時間が経って、冷静に見てみると、
ナノカも、モチベーションが復活して、描き足すこともあるし、
私が、
「確かに、ここが、絶妙な、引き際なのかもしれない」
と見直すこともある。
親御さんに、「集中力がもたない」と相談をされることがある。
大人の頭の中には、
「時間をかけた」「細かく、描き込まれた」「大作」がいい、
という思い込みがあるのだろう。
でも、アートは、足し算より、引き算の方が、難しい。
線を絞って、描き込まないで、完成させる。
よっぽど、慣れた手段で、空間を埋めてしまった方が、まとまりがよい。
シンプルな仕上がりにも、光るものが、ある。
それぞれの制作の形。視点。美的感覚。
それぞれの持つ光を、受け留めたいな、と思う。
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