2020年6月15日

8歳の手習い Shamisen lesson

約9年前、湿気が立ち込める、梅雨のムンムンしたこの季節に、
ナノカは生まれた。

その時、助産師さんの一人がナノカの手を見て、
「あら、きれいな長い指。楽器をやらせるといいよ。三味線とか。」
と言った。
三味線。生まれたての赤ちゃんに、勧めるものだろうか。

しかし、ナノカが物心ついて、最初にやりたがった楽器は、ヴァイオリンだった。
2歳児にヴァイオリンなんて、どうしたものか。高そうだし。
そう思い、ピアノを勧めると、
「まず、ピアノ習って、次にヴァイオリンする」
と、引き下がった。

4歳から習ったピアノだが、思うように動かない指に苛立ったのか、
引っ越しと同時に、7歳の時に一度、やめてしまった。
半年ほどの期間をあけて、再び、弾き始めはしたが、
音楽そのものは好きだけど、ピアノを極めたいとの気持ちはなさそうだ。

今、楽しく弾けている様子を見ると、音楽との距離感を、無理やり縮めるのも
また、違うのかなと感じた。
続ける中でしか、喜びは生まれないのだし、楽器は、空気のよ
うにいられるぐらいが、その子にとっての正しい距離なのかもしれない。

そんな中、ジュニアオーケストラに入れる年齢になり、
ヴァイオリンをしたいと、また言い出す。
この人が言うたびに、なんとか叶えてやりたいと奔走してしまうが、
今までの経緯から考えると、気ままに、気軽に発言してるようにも思える。
どうすべきか、、、

そんな中、コロナ。
ジュニアオーケストラの募集は中止となった。
まあ、あれもこれもして、佐世保に週に何度も通うのもキツイだろうし、
これでよかったのかも。

そんな時、ふと東彼杵町のスポーツサークルの中に、なぜか三味線があるのを見つける。
三味線、、、よみがえる助産師さんの言葉。

ナノカに「ヴァイオリンじゃなくて、三味線ってどう思う?」
と聞くと、どういうの?と聞くので、
Youtubeで、志村けんの三味線演奏を見せた。
「すごい!やりたい!」

これもまた、気ままな感じがするが、なにせ、格安、家近、楽器貸出。
行ってみることにしてみた。

そうして、ナノカは、中高年100%の三味線サークルの新たなメンバーになった。

小学生のナノカにとって、三味線の大変さは、長いこと、重いこと、だ。
端っこまで手は届かないし、すぐに、重さでヘトヘトになる。
私は、黒子のように後ろにひっついて、3分おきに、支えに入る状態。

でも、横で聞いていて、「これは、おもしろい楽器だな」と思った。
メロディラインと、拍の両方を、演奏しながら、さらに歌を歌うのだ。
独特のリズム。

指が動かなくて、イライラするという事はなさそう。
これって、楽器の性質の違いなんだろうか。

さまざまな、日本の文化と並走してきた楽器。
長唄、日舞、お囃子、 落語、
渋い君には、向いているかもしれない。

9歳を目前に、新しい楽器を始めたナノカ。
10歳の誕生日には、三味線を手に入れたいと言い出した。
さてはて、1年、がんばれるかな?

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