2019年10月29日

KAEの英語観察日誌「習い事狂想曲」”Afterschool lessons"

旺文社Argumentに連載の、英語日誌より。Nanoka suddenly told me that she wanted to quit Piano lessons with tears. She explained that she lost her passion. She started piano at the age of 4 and she kept practicing for 4 years. In US, I saw many kids taking lessons, too. Omar took dram lessons, Catherine took Viola and art, and James took the Yoga and Japanese. Every kids learnt what they want to do. In Japan, sometimes parents choose the lesson considering what is best for them. It tends to increase numbers since they worry about future. I felt it is difficult to respect kids will, but I said, "OK, we will quit once."

 ナノカが、4歳から習っていたピアノを、
引っ越しと同時に、辞めました。

 泣きながら、声を絞り出すように、
「もう、興味がなくなった」と
言いました。

今まで、「辞めちゃう?」と聞いても、
「イヤだ!やる!」と、しがみついていたナノカが、
まさか、自分から、辞めたいと言い出すと思っていませんでした。
 私の小さな頃より、よっぽど上手で、真面目。
毎朝、毎晩、練習を続けてきたので、
もったいな過ぎて、親としても、ショックでした。
 思えば、上達していくナノカに、
「いつか、ショパンとか、弾いてほしいなあ」と、
勝手に期待してました。
ナノカも、「こんなの、弾いてみたい」と、
いろんなマスターピースに出会うと言っていましたが、
そうした、遠い理想像が、重荷になったのかもしれません。
 大人から見たら、続けていったら、ある程度、
弾けるようになるのが見えている分、
ナノカの気持ちを尊重するのは、とても、切なかった。
でも、これは、私の人生ではない。
決めるのは、この人なのだと、いろんな言葉を飲み込みました。

 アメリカにいた時、バークリー音楽院とか、ジュリアードとかに
通う学生さんたちと、寮で一緒に住んでたことがあります。
演奏家コースの子だけではなかったので、もあるでしょうが、
みんなで寮でピアノの弾きっこをすると、必ずしも、みんな
日本人の音大生のようには、上手ではなかった。
田舎で、気楽な音楽の先生に教えてもらってた人、
かなり大きくなってから、本格的に始めた人、などなど。

 でも、音楽が好きだから、自分で決めた未来に向かって、
これから学んでいくのだな、と感じました。

 日本の子(アジア圏は、そういう傾向があるかも)は、
習い事の数が多い。
そこには、親の熱意と期待と不安が込められていて、
手がかかっている分、技術は、申し分ないけど、
そこから先の、内からわく、熱がない、と感じる学生さんも多い。
 そんな思い出があったので、ナノカの習い事には、
気をつけたいな、と思っていました。

ナノカが、自分から「やりたい」と言った事を
習わせる事ができたので、尊重できている、と思い込んでましたが、
「辞めたい」に直面した時、初めて、葛藤しました。
そうか、、、尊重するって、こういうことか。
難しい、、、

 知ってる人には、「うまかったのに」と言われ、
お友達が目の前で弾く姿を見て、
本人、複雑な思いを抱えてるのも見受けられましたが、
辞めてからは、ピアノ自体を触りさえしません。

 ピアノ、終わっちゃったのかな、、、
 ところが、この連載記事を書いたのち、ナノカは、半年ぶりに、
ピアノを再開しました。
 夏休みに、参加した、ミュージカルのワークショップ。
そこで、音楽の楽しさを思い出したナノカ。
「気楽な気持ちで、また、弾いてみたら?」の言葉に、無言でしたが、
1ヶ月後、「少しだけ、やってみる」との返事が。
ありがたいことに、音楽家の友人が見てくれることになり、
のんびりペースで、弾き始めました。
 自分で「ブランクがあるから」と言って、開き直り、
前、弾けてたものが、まだ弾けないけど、
楽譜も自分で読んで、決めた時間、練習しています。
 子どもの成長は、必ずしも、意欲が高まり、
できることが増えて、
活動が広がっていくばかりじゃない、
と、知りました。

これは、
私の人生ではないし、
私の努力でもないし、
私の成果でもない、
と、心に刻んでおきます。

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