今回は、色を重ねてできる効果を使って、絵を描くことにした。
もともと、日本画と、油絵など洋画の絵の描き方は、違う。
わたしが、最初に個人的に絵を習った先生が日本画の方だったこともあり、日本画の見方もわたしには馴染み深い。日本画は画材の特徴もあり、色をパレット上で混ぜるのではなく、重ねることで、ねらった色に変化させていく。子ども達にも、背景を空気のように、重ねて作っていくことを、体験してみて欲しいと思い、今回のプロジェクトになった。使うのは、アクリル絵の具。日本画の画材ではないけれど、「重ねる」というところを体験する。
参考になる画家の作品を見て、色見本を見る。自分でも色を重ねるサンプルを作った後、それを参考にベースになる色、重ねる色を決めて、作品を作った(彼杵では、時間の関係で、色見本を作る工程を省いた)
シンプルに、色を重ねた効果を楽しんで、それを遊ぶように、作品に仕上げた、子ども達。ふだん、原色をそのまま塗ったままだったり、混ぜて作った色が意外に沈んだ色になってしまうことに比べて、重ねて作る色の透明感に、ワクワクしている様子が伝わってくる。
色見本を見て、どちらも「夕やけ」を描きたい、と思った子たち。最初に作ったピンクが鮮やか過ぎて、色を重ねたり、さらに、絵を描くことに戸惑う様子も。それでも、だんだんと、描き入れてみて、新しい発見、美しさに気づく。手と目で、「新しい」に出会う。
こちらは、最初に見せた日本画の作品に、感銘を受けたようで、シンプルな構図を選び、視点も、水の流れと岩、というとても、日本画的なテーマを描いた。最初に参考で見せる画家の作品は、プロジェクトを言葉ではなく、感覚で理解してもらうためのものだけど、流してみてもらって、構わないと思っている。でも、時々、その作品が、ものすごく響く子がいる。
リトルアーティストに来てくれている子の中には、毎回のプロジェクトの意図をしっかりと受け止めて、その内容に応えようとする子がいる(わたしは、新しい経験ができるように、プロジェクトを組んでいるので、なんとなく参加してくれるだけでも、じゅうぶんだと思っているのだけど)。すると、プロジェクトによって、しっくり自分のものにできるものと、なかなか苦労する会が出てくる。気持ちよく描けた会も、葛藤のあった会も、それぞれ、意味がある。まじめで、情熱的だからゆえに、葛藤が続いてるな、と子どもから感じることもある。それでも、続けて通ってくる様子を見ると、葛藤自体は、その子にとって、決して、いやなことではないのだな、と思う。試行錯誤の中で、大きなものを得た瞬間を見ることもある。その時の顔の輝きは、なんとも言えない。
大人が加わってくれることもある。大人は、それぞれの人生が絵の取り組みに表れて、とても興味深い。一緒に描いていると、子どもと大人は、互いに刺激になると感じる。大人ゆえのアートが、もっと身近になるといいなと思う。
2回同じ内容で実地して、ここにない、ステキな作品がいっぱいあったが、抜粋してある。